女の子が本当に大好きなのである。
ラッキーとの事件からハチは、色魔犬かつステルスシッコ攻撃犬として有名だった。今日は大型犬のグラマーなウランちゃんがハチのお相手だ。女性に体重の公表は失礼だが彼女は多分30キロはあるのではないだろうか?ちなみにハチは6キロである。
ハチは相手が変わっても必ず自分で決めた同じ行動をとるのだ。大きな彼女の目の前にひざまづき上目使いで尻尾を一生懸命にふりながらホフクゼンシンで近づいて鼻を突き合わせようとするが彼女は大きいのでハチの鼻は届かない。
ハチの行動を知ってる犬友は「クスクス」笑っている。
ハチはアプローチの順番にしたがって、第2段階は背後に回りお尻クンクンを始めようとする。ウランちゃんは穏やかな子なのでちびっ子ハチには無関心でなるようにさせている。
ハチは相手が大きくても小さくてもパターンを変える事はしない。クンクン行為でしかられなかったので、背後から事を始めようと飛びかかるが全く届くわけもない。
一生懸命二本足で乗りかかろうとするのだが、彼女の片方の後ろ足を抱きかかえる程度なのだ。
それでもハチは構わないのだ。
しっかりと足を捉まえて腰の上下の運動を始めた。
いつもの叔父さん犬友が
「ほらほら、見てみな!ハチは飼い主そっくりだよ。ハハハハハハ」
楽しそうにみんなの前でハチの事を笑う。
今度は他の皆さんの笑い声が「クスクス」から「ハハハハ」に変わる。
「やだ はっちゃんたら」と犬友ママの声。
ハチが腰を動かしているのに僕がその行為を行っているかのような雰囲気だ。
僕はウランちゃんのママさんに「すみません」というと「良いのよ。絶対に届かないから」と笑われた。
ウランチャンがボールをめがけて駆け出すとハチは後ろ足に蹴飛ばされて尻餅をついた。
飛ばされて起き上がるとそこには大好きなラッキーがいるではないか。
ハチはラッキーの前にひれ伏してホフクゼンシンしてクンクンを始めたが、ラッキーはそれを無視してボールを追いかけ始めた。
ラッキーママがすかさず言った。
「ハチ 二股は駄目よ!」
今日ハチは二人にふられた。
帰り道ハチに訪ねた。
「どっちがタイプなんだい ハチ?」
「僕は女の子は誰でも大好きだよ。パパと一緒さ。」
綺麗な夕日が沈んでいく。
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