BLUE BOTTLE COFFEE

 

喫茶店がスタバなどのカフェと言われるビジネスモデルに変化して久しい。

注文をウェイトレスやウェイターが聞いて一杯づつ作って提供する方法が、カウンターと呼ばれるところでお客が注文をしてマシンによる時間短縮均一品質キャッシュオンデリバリーで提供する人件費削減モデルだ。しかし新しい価値として空間の価値をファッション要素が高いくつろげる空間に変えた。つまり自宅では中々実現できないスタイリッシュな空間を付加価値として提供したビジネスモデルである。

 

進化の振り子は左右に揺れながらスパイラルに上って行く。

 

その反動として名古屋発のモーニングに特徴がある喫茶店が昔ながらの、テーブルに注文を聞きにくるというスタイルの店を関東に展開を始めた。多分喫茶店時代には存在した店とお客との「会話」「コミュニケーション」も復活したのではないだろうか?そしてコーヒー業界のアップルと呼ばれる「ブルーボトルコーヒー」の日本上陸である。

 

1号店の清洲白川の店に行ってきた。この地域は下町深川である。ファッションエリアではない。しかも地下鉄の駅から10分程歩く場所にあるトラフィックが良い場所でも何でもない。しかし木曜日の午後にも関わらず1時間待ちの行列が出来ていた。やっと店に入ると店は元工場か倉庫だった場所だ。創業者のジェームスフリーマン氏は元ミュージシャンだ。サンフランシスコで「こだわった一杯づつ」のコーヒーを販売したところ反響が良かったのでこのビジネスを始めたという。ブランド哲学が「一杯づつ」のコーヒーだから当然コーヒー豆も焙煎もお湯の温度も入れる時間もこだわらなけれ

ばならない。店の半分は「コーヒー豆の倉庫」「巨大な焙煎機」そして注文に応じて「ドリップ」で一杯一杯入れてくれる。久しぶりに自宅以外でドリップコーヒーを淹れる風景を見た。注文を受けるレジから渡す空間は「つや消しのへアラインアルミ」(Appleと同じ)と「削った白木」の組み合わせだ。テーブルは席があるものとスタンディングで回転を早くしている。全体の雰囲気は「もしもAPPLEの中にカフェを作ったら」というイメージである。

 

Steve Jobsは機能を削るだけ削り最低限の機能化に成功した。そして対象を企業から一般の人に転換し「ファッション性」を取り入れたのだ。ブルーボトルコーヒーはメニューを削るだけ削ってコーヒー豆 焙煎 ドリップの方法に集中して深堀している。FOCUS&DEEPだ。そしてJOBSと同じく「ファッション性」を取り入れている。JM氏は店は進化するというコンセプトを持っている、すなわち流動的で良いものを取り入れるのだ。日本に上陸したのは日本の「おもてなし」の文化をお店に取り入れる事が目的で決して売り上げの拡大ではないのだ。サンフランシスコのコーヒーのハード面と日本の接客サービスの「おもてなし」の融合を計って行くグランドデザインがJM氏の発想である。

 

ビジネスはグランドデザインを描けるかどうか、アーティスティックな事なのだ。今後のビジネスのあり方を示している。右脳で閃いて左脳で一定の品質を確保している。ミューシャンの彼だから感性を使ってこのビジネスデザインを描く事が出来たと思う。

 

 

「1%の閃きがなければ残りの99%」は無駄になる。

エジソン