ハチとゲージ 3

僕も考えた。

 

そうだ!上からタオルケットを掛けて周りを遮断して暗くすればいいんだ。

そうだ、確か雪村(ゴールデンレッドリバー)を預かったときも午後9:00になったらタオルケットを掛けてやると静かに朝まで寝ていたな。そうだそうだ。自分の安心できる空間があれば安心して眠れるんだ。そうだそうだ。

僕はタオルケットをゲージに掛けて静かに安心して寝る環境を作ってあげた。

 

そうだ!

「北風と太陽だ」。

北風で強引に躾るのではなく太陽のように大きな心で優しく接する事が大切なんだ。北風は旅人のコートを脱がせないけど太陽は旅人のコートを脱がせることができるんだ。

北風はハチのゲージ昇りを止められないが太陽は止める事が出来るのだ。太陽作戦でペットと接する事が大切なんだ。ぼくは悟りを開いたかのように思った。

 

「ハチ、これで安心して落ち着いて眠れるだろう。」

 

深夜200    ガルルル ガチャガチャガチャ  ガルル ガチャ ガチャ 

 

なんだなんだ?

 

今度は何だ。

 

このハチ野郎はゲージの外にあるタオルケットを手で引っかけて口に手繰り寄せて檻の隙間からタオルケットをゲージの中に入れようと必死にタオルケットと綱引き状態で格闘しているではないか?!

 

横目で僕を見て

 

「パパ こんな遊びも僕は出来るんだよ。」と横目の白目で僕に一瞥を投げかけた。

しかも引き込んだタオルに大量のシッコをかけている。

 

「パパ こんな優柔不断な柔らかい奴(タオル)は僕が懲らしめてやったよ。

根性無しめ!!!  僕の故郷のスコットランドにはこんな柔らかな奴はいなかったよ。だから本物のツイード素材も質実剛健で固いでしょう。パパ 知ってる?」

 

ウーン 僕はしばらくその光景を見つめていた。

ハチをスコットランドに戻したほうがいいのかな?

ふとそんな事を思いながらタオルケットをゲージから引っ張り出した。

手にハチのシッコがついた。

 

今何時だ うーん 2時半か・・・・・

それからというものは

相変わらずリビングでは走り回っておシッコをする。

ゲージには登る。登ってはおシッコをする。遠吠えをする。

 

このままでは我が家はシッコの家と化し壊滅状態になってしまう。

ケア-ンシッコ猿のすみかになってしまう。

なんとかなんとかしなければ・・・

なんとか・・・・・