高いところが大好きである。
散歩の帰り路。
ハチは疲れると抱っこをせがむ。
もう路上にピッタリとへばりついて動かない。
上から見るとタワシ毛虫のようだ。
抱っこをするとハチは僕の肩によじ登る。
僕は安定させるためにハチの尻尾をつかむ。
黒いタワシ毛のハチが僕の肩に乗る。
新種のケア―ンテリア猿である。
すれ違う人が笑っている。
こんな散歩している人はいない。
食卓のテーブル。
まずは素早く椅子に飛び乗る。
それから食卓の上に飛び乗って食べ物を物色する。
ここで誰かに見つかる。
「コラ ハチ!降りなさい」
素早く撤退する。
誰にも見つからないと
「なんだ今日は何も食べ物がないな」
「ママが片付けたのか」
「フン!こうしてやる」
ハチは食卓のテーブルクロスを滅茶苦茶にする。
仕上げはオシッコ攻撃だ。
帰宅したママが気付いて叫ぶ。
「ハチ!またやったでしょ!」
「もう絶対裏山にすてるから!」
僕が食事をしているとき
ハチは僕の前の席の椅子に飛び乗る。
そして顎を食卓の上に置いて
僕の食事の一挙一動をじっと見つめている。
「ハチ またこのテーブルで悪戯しただろう」
「へへへ 面白いでしょう」
「・・・・・」
「ハチは今日は何をしていたの?」
「リュウチャンと遊んでたよ」
「何して?」
「教えないよ 怒るから」
「・・・・・」
ハチと僕だけの会話が楽しい。
僕は早朝仕事をする。
ハチはストーカーの如く付いてくる。
トイレに行く。
トイレの中までついてくる。
僕が大きいのを出し終わるまで足下で待っている。
机に向かう。
ハチは見上げて僕の視線を探す。
抱き上げて僕はパソコンの横にハチを置く。
パソコンの横でブルブルと身を揺らしゴロンと横になる。
僕はハチを見ながらキーボードを打つ。
黒いタワシ毛の塊にそっと触れる。
固い毛の中に細く柔らかな毛が隠れている。
可愛くて仕方ない。
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