「多機能商品の落とし穴」 

なぜ多機能商品は生まれるのか? 
それは企画チームは「他社との差別化」を目指しているからだと答えるだろう。その行為は「ブランド力」を薄めて「機能」を売る事にならないだろうか?殆どの機能は「他社」も真似できるので結果は「多機能 低価格競争」に陥ってはいないだろうか?これが多機能商品の落とし穴である。 
経営の基本のように思われている「より良いものをより安く」が通じないマーケットが形成されつつあるのだ。 
本来の商品目的価値を明確にしてブランディングに成功している商品がある。T-falの電気ケトルだ。機能を「早く素早く沸く」だけに絞った商品だ。 
 

左下、日本商品の多くの湯沸かし器は4つの機能を持つ。極めて「男性的」な「ロジカル的」な開発から生まれている。湯沸かし器でブランディングができている商品はない。T-falは極めて女性的である。軽量で色やデザインが「キッチンに置きたいな!」と思わせるイメージを兼ね備えている。 
しかもMade in Franceに女性は弱い。1機能のT-falが多機能の商品よりも優れたブランディングができているのは「キッチンに置いて使いたいな」という楽しいイメージを持ってそれを伝えているからだ。 

 



掃除機のDYSONも同じ事例のブランディングの成功例だ。F1よりもジェエット機よりも強い「15G」を掃除

の中にマシンとして取り入れた。これで従来では考えられなかった男性が多くこの機能に惹かれて購入しているのだ。T-falもDYSONも「多機能化」した市場に「本来機能+FASHION」という既存価値を否定して開発されている。APPLEもまた同じように「本来機能+FASHION」で生まれた。 
技術はあるのになぜ日本の企業ができないのか? 


日本の企業が、マーケットインの発想と「差別化=多機能化」=「良いものをより安く」の思考から抜け出した時に新しい商品が生まれる。