価値軸をずらす


「価値軸をずらす面白さ」

〜カゴメの美容飲料〜

価値軸が変わればブランディングも変わる。「鯛」は日本では

高級魚だがフランスでは「死肉を食べる魚」として嫌われてい

る。「マグロ」は現代では最も日本人が好む魚だが、江戸時代

は「猫も食べない」といわれた歴史がある。国と時間軸を変え

ると今現在信じられている「価値感」が殆ど同じではない。ここに閃きや発想のヒントが眠っているのだ。

そしてカゴメのトマトジュースの新たな価値軸である。

東南アジアにおけるトマトは品質も悪く「美味しくない」「臭い」というイメージが定着していた。そこでトマトを外して「野菜生活」という価値軸でのブランディングを狙ったが、いくら

でも豊富な野菜が手に入る国では、「日本品質の野菜・果汁1

00%」では受け入れられなかった。

そこでどこの価値軸を見いだしたか?ここがユニークで面白い。

細かな市場意識調査の結果「肌の白さ」や「美しさ」を男性も含めて(ニューハーフも多い国柄)非常に大きかった。タイで

は男性でも「自分が出世しないのは肌が汚いからだ」という人

もいるそうだ。(何故なのか原因を探ると面白そうだ)そこで

その気にしているポイントにトマトの成分が合う物を調べてみ

るとトマトに含まれている美容成分「リコピン」があった。

そこで美容軸にシフトして「リコピン=美容に良い」「カゴメ

=リコピン」というイメージを与える戦略をとり、国内最大大

手のセブンイレブンというチャネルをつかんでヒット商品に仕上げたのだ。

既存の固定観念の価値軸を外し、新たにマッチングする価値軸

を市場と商品の間に見いだしたカゴメの柔軟性は「思考回路」

INNOVATIONだと言える。

 

 

本当の発見の旅とは

新しい土地を探すことではなく

新しい目で見ることだ

マルセル・ブルースト

(フランス 文学者)