「白いパンツとブーツ」
〜覆い被さるもの〜
白いパンツはトレンドを追いかける人々の為だけであったのが
約10年前である。なぜならその当時の素材は「透ける」というデメリットがあった。下着の色や形まで気にして着用しなければいけ
なかったので着こなせる人が限定された。
ところがである。その後素材メーカーの改良改善により「透けにくい素材」「透けない素材」が開発され、パンツの形も多種多様なデ
ザインが企画された為に、老若の女性が着用出来るようになってし
まった。あっと言う間の出来事である。一部のファッショニスタの
ワードローブがいまや年齢に関係なく着用されているのだ。
じわじわと確実にそれは「拡大」されて行った。しかもこの白いパンツは「春夏」だけではなく「秋冬」の定番カラーにさえなってし
まったのだ。
幅広い年齢ながら異なるのがそのデザインだけである。若い女性は
スキニー(細身)なヒップハンガー(腰で履く)に対して、高齢の方は股上が深い物を召されている。しかしこれも今の若い女性が高齢になったときには年齢とデザインの相関関係は薄くなっているのだと思う。
そしてロングブーツである。これもまた女性には年齢に関係なく浸
透してしまった。ロングブーツを見ていると「ドキリ」とする事がある。なぜだろう?年齢に関係なく「ドキリ」としてしまうのは僕だけではないと思う。
二子玉川のソファーで綺麗な足と上質なブーツだけが見えていた。僕は「ドキリ」とさせられた。そして、そのブーツが動き出して容
姿が見えて驚いた。かなりご高齢な上品な御婦人だったのだ。
あるイメージが雑誌やマスメディアで形にされて行く。そこにイメ
ージの価値観が発生する。ピラミッド型の人口構成の場合は、年齢
別横切りでイメージの区分けがされて成立していた。ところが現在のように逆ピラミッド型になるとイメージの区分けが難しくなる。
下層部(若い世代)の人口が減少しているので、多きな人口構成を
中心にイメージを形成しようとする。
ファッション雑誌もアラサー アラフォー アラフィー そしてそ
の先まで駆け上がり大きな人口を取り込もうとする。
当然の成り行きである。
そしてもう一つ追いかけてくるポイントがある。
それが「ファッション性」である。アパレルだけでなくこのファッ
ション性は「食」「住」「旅」「遊」「健」「知」「IT」「情」「自然」「美」生活全てに幅広く覆い被さろうとしているのである。
特に島国で育った日本人のDNAはこの覆い被さる速度が早く広いのである。
何につけても格好良くないと続かないし広がらない。
エコにはファッションが必要だし、有名ブランドの
協力はそれだけエコが浸透してきた証だと思う。
「ルイヴィトンの森」を担当した時の
坂本龍一
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