1903年はエポックメーキングな年代でした。
ライト兄弟が初めて飛行機を飛ばし、ハーレーダビッドソンがこの年に生まれ,何より
もフォードが大量生産体制で安価な車を市場に提供するイノベーションが起きました。
最も大きなインパクトはフォーディズムと言われている新しい経済の仕組みです。
つまり大量生産体制で多くの労働者が給料を得て、更に市場規模を拡大する主役の消費
者になり市場は拡大して大量生産も拡大するというスパイラルが生まれました。車以外
の商品も大量生産化された結果生活は豊かになる一方で、企業間に販売競争が生まれて
「マーケティング」という概念が「学問」として広がりました。また「クレジット」や
夜の「繁華街」のビジネスも生まれたのはまさにこの時代からなのです。需要が供給を
上回り続ける黄金の時代ですね。確か毛沢東がこの時代を「黒い猫も白い猫もネズミを
捕る猫はいい猫である」と言った気がします。ところが今は「右目がブルーで左目がグ
リーンで毛が白く長髪で尻尾が左巻きの猫」だけがいい猫(需要がある猫)のような時
代になったような気がします。100年も経てばそれは環境も変わりますよね。
マーケティングとは「MARKET」+「ING」だから、動いているマーケットを指してい
るので、動いている市場をいかに捉え対応するのかを突き詰めていくのがマーケティン
グの考えです。基本的に市場を実績データで分析分解して次のニーズを見つけて戦略を
立案して行きます。つまりは分析至上主義ですから「過去の現象」を分析し次のニーズ
を探すマーケットイン思考が主力になります。この思考方法はロジカルシンキングが重
要です、つまり「記憶」「計算」の左脳的思考が必要で「創造性」は必要ありません。
しかし「記憶」「計算」はコンピューターが間違いなくやってくれます。しかも分析す
るデータや材料が一律で同じだとするとどうでしょう?同じ戦略が生まれてあっとい
う間にそのアイデアのビジネスは「RED OCEAN」になってしまいます。受け身的な要
素が強い気がします。
僕はブランディングの考えを広げたいと思って活動しています。ブランディングはラグ
ビーのグランディングに似ています。トライの時にボールを地面に抑える行為を「グラ
ンディング」と言います。トライの「存在証明」なのです。インゴールに入っても「グ
ランディング」出来なければトライとは認められません。
BRAND+ING=ブランド自身が市場の大地に自立して根をはる「存在証明」を意味す
るのです。ここで必要不可欠なことが2つあります。1つは「ブランドの魅力」(なぜ
このブランドなのか)を明確にするという事です。マーケットインのように市場に合わ
せて変化するのではなく自分たちの「魅力存在証明」を市場に対して伝えて市場とその
魅力を「同期化」させる行為がブランディングです。2つはブランドビジネスの「哲学」
を持つことです。「魅力」は内在するものでそれを引き出すには「創造性」が不可欠で
あり「魅力」は「経営資源」に眠っています。「哲学」はその「魅力」をいかに市場に
伝えていくのかという「概念」です。
春の新しい息吹がそこまで来ている2月ですが、新しいブランディングというアプロー
チで御社の既存ブランドや新事業にフィルターをかけてみてはいかがでしょうか?
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