エルメスの魅力

混沌とした時代だからこそ、ラグジュアリーブランドは独自の「ブランドの強化」を計っています。

今回は「エルメス」にスポットを当ててみましょう。

 

 知ってましたか?

 エルメスには「マーケティング部」が無い事を。

 

つまり分析至上主義から生まれる「マーケットイン」ではなく「プロダクトアウト」思考で商品化が行われているという事です。

 

なぜプロダクトアウト思考で成功するのか?

分析してみましょう。

 

ラグジュアリーファッションが最終的に行きつくところは「最高品質」です。最高の素材 最高のパターン 最高の縫製 が最終的な価値です。 それはすなわちシンプルで不変的な最高の「贅沢」な価値です。

 

エルメスの中でも特にスカーフの場合はデザインテーマを設定すると開発期間が長く15カ月を要しているといわれています。

 

ではどんな「物作り」をしているのでしょうか?

(エルメスは独自の養蚕技術で最高の絹を使うことができます。)

 

「森」がテーマの場合、例えばデザイナーをアマゾンの奥地に2から3カ月滞在させます。そして原住民が森に対して持っている「畏怖」「神秘性」「伝説」「言い伝え」を調べます。世界中の森に滞在することによって「森」の真の意味を感じてそれをデザインで表現します。

 

「星」がテーマの場合は、デザイナーを砂漠に派遣します。同じように現地に住む人々にとっての天井の星に対する想いを、デザイナー自身が体感することでイメージをアウトプットする事が出来るのです。又それは多くの人が「美しい」と同期できる人間の深層に流れている「感性」なのです。

 

これはインプット感性とアウトプット感性の組み合わせです。象徴派の画家はどこで名画を描くことができていますか?プロバンスや地中海やタヒチ等 自分の「感性」が美しいと思う地の光や色を自分の「感性」に同期させているのです。(インプット感性)それは単純に人間がイメージできる「美しい」という想いです。そしてそれを自らのキャンパスに自分の「感性」で描いて行くこと同じです。(アウトプット感性) インアウトプットした感性をアウトプットすることで「感性の循環」が始まります。感性の質が高まっていくのです。

 

この方法がエルメスのプロダクトアウトです、決してマーケットインの発想で出来るものではありません。 人間が心の深層で誰でも持っている「感性」に同期化させているのです。

 

そして最終的に誰が何を基準に製品化するデザインを決めるのか?

 

それは5代目の社長の審美眼です。その審美眼が基準フィルターとなって新しい製品が決定されます。

 

審美眼とは「エルメスらしいか否か」の判断です。5代目は市場が持つエルメスの価値観と「同期」することが可能なのです。エルメスの代表としてその伝統的に鍛えられた「審美眼」で製品化の判断を行うのです。

 

だれかに似ていませんか? そうですSTEVE JOBSですね。彼はいっさいマーケティングリサーチをする事はなかった。彼自身がアップルの最高のファンだからです。ダイソンもマーケティングリサーチをしなかった経営者です。

 

そして誰よりも自分のブランドに愛情を注いだ経営者なのです。

 

ブランディングには「愛情」が不可欠です。

「愛情」はブランドの「誇り」の根源です。