バイオリン業界では300年前にイタリアのクレナモで作られたストラディバリウスが最高とされている。有名な演奏家たちが目隠しで新旧のヴァイオリンを演奏して「最高の音色のヴァイオリン」を選んだ結果は、
1位:新作 2位:新作 3位:ビンテージ
全員がヴィンテージを選んだつもりだった。しかし、音色だけがブランドとしてのバイオリンの価値ではない。
クラシックカーと一緒だ。新しい車には「機能」では負けるが、「刻んだ歴史」「希少性」「個性」「雰囲気」では負ける事はない。
-歴史が「伝説」を熟成させて「イメージ価値」を高めた。 1 最高の技術の結集のバイオリンがわずかに生産された。 2 クレモナからヴァイオリン職人が消滅し今では再現できない。 3 有名な映画や小説のシーンに使われ、数々の名演奏家に愛された。
1-3の事が「伝承」され続けてきた。
-基本的な楽器の価値の「美しい音色」の価値よりも「コレクター要素」の価値に変化したのだ。(資産価値化現象)
ワインやクラッシックカーと同じ要素だ。 その機能よりも「歴史を所有する」という特別な魅力価値だ。 -ルイヴィトンの旅行バッグはタイタニックと一緒に沈まなかった。発見されて中を開けてみると海水が一滴も漏れていなかった。
商品の価値とブランドの関係は面白い。いくら機能が良くても伝説や物語性がもたらす「フック」がなければ強いブランドとして残らない。
印象に残る物語が必要である。
-グレース・ケリー(モナコ王妃)が懐妊していた時に、パパラッチに写真を撮られた。その時に持っていた鞄でお腹を隠した。そのバッグは「ケリーバッグ」と呼ばれるようになった。
「ブランド」のフックとなり得るものなのだ。 「ブランド」は歴史とともに熟成し機能以上の付加価値を付けて益々魅力を放つものあれば、静かに眠ってしまうものもある。 経営資源の「歴史」「技術」「人」「文化」にそんな伝説が眠ってはいないだろうか? 掘り出すべき価値がすぐ近くに眠ってはいないだろうか?
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