100年老舗ブランドの価値軸のずらし方 〜Harley Davidsonのブランディング〜

                 
実は100年を超えているブランドなのだ。  
このブランドは外見は「強いイメージ」を持ち内面は「知的で繊細」なブランドだと言える。ほとんどの人にとっては外見が強い印象として映っているだろうが、実際に働いていた僕が経験したのは内面の「知的な繊細」さである。  
外見のイメージは言うまでもなく「大型バイク」であるから力強い。そしてあの独特の「ドドドドド」という低音の地面に響き渡るエンジンの音。あの音に魅せられてしまうのは「ハードロック」と同じ雰囲気だ。  
まさしくイージーライダーの世界。限りなく広がる地平線めがけてハイウェイを疾走するのが似合う。  

一方僕が経験した「知的な繊細」を紹介したい。  
ミルウオーキーの本社にはハーレのアーカイブがある。そこには100年前の初期から代々のハーレが展示してありしかも整備士が常駐してが今も動くようにメンテナンスしている。  
また、本社には「ハーレー大学」のような機能がありエンジニアはメカニックな技術を学ぶ事ができ、販売員はDISPLAYや販売ノウハウを学ぶ事ができる。そこには全米いや全世界のハーレーのディーラーが学ぶ事が出来る。  

そして巧みにブランディングの軸をずらしているのだ。  

 


これは非常に難しい事だ。  

 

 

 

 大型バイクは毎年新車を買うような性質のものではない。  ハーレーには独特の、全体の20%が80%の売り上げを占めるという法則がある。ラグジュアリー市場は固定された顧客が毎年新しい商品を買うので「固定客パレードの法則」が確立される。しかしハーレは「新規客パレードの法則」なのだ。実に新規の20%の顧客が80%の売り上げる。それを毎年続けるのだ。  

新規客の売り上げ比率を80%にするということは、未来のハーレーのオーナーを育て続けるという機能がないと成立しない。
まさに昔からハーレは現代のSNS的なCRMを実践でやっている。  
実はここがハーレーの強さなのである。  

このブランディングの新しい軸は「ハーレーと過ごす楽しいライフスタイルの提案」なのだ。  

ハーレー&家族と一緒に「生活」する楽しさを追求しているのだ。