印象派を代表するマネの作品の中に「一束のアスパラガス」と
いう作品がある。これをエフリュン氏が800フランで購入し
たのだが、エフリュン氏が気に入って1000フランを送って
きた。売買価格より200フラン多いからマネは新たに1枚の
絵を送った。それはアスパラガスが一本だけテーブルに横たわ
っている小さな絵だ。「あなたに買っていただいたアスパラの束から一本抜け落ちていたので御送りします」という手紙を添
えて送ったそうだ。なんとも粋な絵と手紙ではないか。
その絵が現在、国立新美術館で開催中の「オルセー美術館展」
に出展されている。(是非ご覧下さい)
http://www.nact.jp/exhibition_special/2014/orsay2014/
印象派の画家の作品はブランディングによく似ている。
写実派はそのもの自体を繊細に描くのだが、印象派の画家達は
自分が見た印象をキャンバスに描いている。
消費者がブランドを見て想い浮かべるのは正しく、印象派の画
家達のイメージするものと同じである。つまりブランドのコン
セプトや詳細な機能を思い浮かべるのではなく、自分にとって
そのブランドから思い浮かべる印象こそが消費者から見えるブ
ランドの価値である。
商品は5重構造で出来ている。
http://connect-de-r1.jimdo.com/ブランディングの流れ/商品の5重構造/
中心から順番に「哲学」「経営資源」「機能」「DESIGN IMAGE」「COMMUNICATION」。消費者にとって最も近いのが
「COMMUNICATON」で消費者から最も遠いのが「哲学」であ
る。印象派の画家はこの「COMMUNICATION」 を描くのが優
れている。伝えたい事象の「印象を描く事」で、写実的な表現
をより消費者が解りやすいようにつまりはIMPRESSIONさせる
のだ。IMPRESSIONは「IN」(心の中)に「PRESS」(刻む)とい
う意味だ。
「7-38-55のルール」というメラビアンの法則がある。これは
人の第1印象決定要素が「言語7%」「聴覚38%」「視覚55%」
で決まるという事だ。人の印象は3㍍10秒で決まるとも云う。
ブランドの印象も同じく最初のコンタクトの「視覚55%」が大
きな意味を持つのだ。
そしてマネの「アスパラガス」の絵にはなぜこの一本のアスパラガスを描いたのかという、粋なSTORYが見る人の心に「フック」している。マネのこの作品はブランディングが完璧になされている作品だと思う。